「多良岳讃歌」
作 詞 大橋一夫
作曲・演奏 園田鉄美
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春は尾根道 赤く染め
ミツバツツジか 石楠花か
花のトンネル 抜け出せば
ここは五ヶ原の 花の山
夏は沢音 涼しげに
黒木の谷を 埋めつくす
キツネノカミソリ 踏み分けて
今宵の泊まりは 金泉寺
秋は紅葉の 多良の峰
修験道の 残る山
荒ぶる心を 鎮めたる
昔と変わらぬ 座禅岩
冬は吹雪の 経ヶ岳
枯れ葉も凍る 沢の道
見上げる岩壁 天にそびえ
山の男は 勇み立つ
(2000.10.24)
県庁山の会の長老であった大橋さんから、「山の歌の詞のできたバイ」といただいたのが確か2000年の4月頃だったかと思う。最初に見たときは、「七五調の詞で、何となく堅いな」という第1印象で、いただいた詞をそのまま鞄の中にしまい込んでいたのだ。だが、半年ほどしてふと思いだし、曲を付けるなら、「坊がつる讃歌」風の三拍子、マイナー調かなとか考えているうちに、そう言えば、日本の山の歌はなぜ三拍子が多いのかなと思ううちに、歌を歌いながら山を歩くときは三拍子よりも4拍子の方が良いばず、明るく調子の良い歌でいこうと発想を転換し、あっと言う間にできたのが、この歌である。
その後、この歌は長崎の勤労者山岳会のうたう会を中心に広がり、多良岳の金泉寺の山小屋に楽譜が置かれたりしていく中で、九州の山登りの方々の間にもじわじわと広がっているらしい。数年前には、高来町役場からの問い合わせもあったし、先日は長崎の地元民放の多良岳を紹介する番組の中で、この歌を歌っている場面があったとの話も聞いた。自分の知らないところで、しかも直接的には音楽とつながらない岳人の間で歌っていただいているとは、何とも嬉しい。
なお、大橋さんによると、この歌は県庁山の会の重鎮であったMさんが県を退職したときに送った詞であるとのこと。だから歌の最後に出てくる、「山の男は勇み立つ」の「勇」とはMさんの名前でもあるとのこと。だが、労山の女性軍からは「最後の行は、『山の女は勇み立つ』と歌いたいね。」と言われた。どこも、盛り上がっているところは、女性が元気だ。