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「今この時代に」

     作詞作曲:園田鉄美
     演 奏:長崎のうたごえ合同合唱団
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1 戦争の愚かさ胸に刻んで 確かに

    憎しみも怒りも武器も捨て去り 海の底に

  いのちの重み 愛おしさを

  この歌に込めて 君に

   ※Love 国やことばを超えて

    Peace 世界中に広がれ

    遠い未来の夢ではなく

    今を生きるこの時代に

2 ふるさとの森や海がいつまでも 変わらぬよう

  鳥やけものや魚や虫たちも 同じいのち

  母なる地球 その青さを

  この歌に込めて 君に

   ※Love 国やことばを超えて

    Peace 世界中に広がれ

    遠い未来の夢ではなく

    今を生きるこの時代に

3 新しい時代の扉開いて さわやかに

  人と人の心かよわせ ときめいて

  いのちの尊さ その輝き

  この歌に込めて 君に

   ※Love 国やことばを超えて

    Peace 世界中に広がれ

    遠い未来の夢ではなく

    今を生きるこの時代に

        ※(繰り返し)

          (2000.2.20)

 この歌を創ったのは、2000年2月。世は、コンピュータ2000年問題を経て、まさにミレニアムの年を迎え、世紀末に大騒ぎをしていたときだった。私たち(長崎「平和の旅へ」合唱団)は、その前年、熊本菊池郡大津町の護川小学校の子供(6年生)たちから、学校の平和集会のために「平和の旅へ」(長崎の被爆者渡辺千恵子さんの半生を歌った8曲の歌と語りからなる30分の組曲)の演奏の要請を受けた。

 彼らは、担任の先生から「平和の旅へ」のCDを聞かせてもらい、感動したという。そして、ぜひこれを生演奏で聞きたいと、最初は取り合わなかった学校の先生方を説得し、父兄の協力も得ながら、私たちを長崎から招くための費用の捻出のために、バザーや廃品回収を行うなど、何ヶ月もかけて取り組んだというのである。(すごい行動力だ。)

 その日、2000年の2月19日(土)の早朝、大雪の中、私たちは貸し切りバスで護川小学校を目指した。学校は、モダンな建築ながら、木をふんだんに使ったとても温かみのある建物だった。そして、彼らちのうち、中心メンバーの子供たちが、ちょっとはにかみながらも、まるでずっと前からお互い知りあっているかのように、待ちかねたように笑顔で私たちを出迎えてくれた。

 400名位の子供たちを前にしたその日の演奏は、最終楽章の「平和の鐘を打ち鳴らそう」を一緒に歌う等、数ある「平和の旅へ」の演奏の中でも、忘れられない一つとなり、とても感動的だった。やがて、短い時間だったが、子供たちとの別れの時がきた。雪の降りしきる中、私たちはバスで学校を後にしたのだが、子供たちがずっと手を振りながら涙で私たちを見送ってくれたのである。そして自然に双方から誰からともなく「青い空は」の歌がでた・・・。まるで、映画の中のワンシーンのようだった。その時、私は、20世紀から21世紀を生きていく、この子供たちに歌い継いでもらえるような歌を創りたいと思った。

 そして、この感動を噛み締めながら、帰りのバスの中で詩作を開始し、五島行きのフェリーの中で詞をほぼ完成、不思議と、何百、何千という人たちが歌っているシーンや声をイメージしながら創ったのが、「今この時代に」である。

 曲が完成すると、すぐにピアノ譜を書くと同時に、コンピュータミュージックによるピアノ伴奏をバックにして多重録音で歌を録音し、護川小学校の子供たちに送った。彼らは、とても喜んで歌を覚え、校内放送でもこのテープを流してくれたという。

 その後、私は、この歌の楽譜をたくさんプリントし、ギター片手に、もう数え切れない位のところで歌いまくった。そして、この年の10月、長崎で開催された九州のうたごえ祭典のテーマ曲として採用され、「平和の旅へ」と共に歌われた(ここには熊本から中学生になった護川小学校の子供たちが参加してくれた!)のである。